本書は、産業革命が始まる前の、工業化への準備段階ともいうべき「プロト工業化」時代における経済社会の様相を、日本と欧州との比較という視点から分析した貴重な研究書である。 日本では、いわゆる大塚史学がこの時代の研究を手掛け、大きな成果をあげているが、本書はそうした先学の業績を踏まえたうえで、メンデルスらの18世紀フランドル地方を素材とした「プロト工業化モデル」に依拠しつつ、産業革命を成立させた「先行条件」について分析している。 本書は大きく分けて二つの部分からなる。 前半においては、西欧社会におけるプロト工業化の分析が示される。 そのモデルになるのが、メンデルスらのプロト工業化論である。 プロト工業化論の答えは，「地質的および技 術的条件によって穀物生産には不向な（すなわち穀作農 業に比較劣位をもつ）地域で，入口の土地への圧力が高 まったときに，農村工業化の開始が観察される」（本書 118ページ）というものである。 いわば経済地理的要因と 人口圧力とを組みあわせた立論であり，著者もフランド ル地方やスイス・チューリッヒ地方の例を紹介しつつ， その一般的妥当性を認めている（第1章，第3章，第5 章）。 興味深いのは，経済地理と人口圧力のほかにもうひと つ市場のカを考慮すべきだという著者のコメントであろ う。 第2章でプロト工業化論を大塚史学と対比した著者 は，後者が農村工業化の前提条件として農業生産の発展 と地域内の市場経済の発展を考えているのに対し，前者 |fey| kzo| tsu| vrg| wis| gnv| cjl| qop| pfg| cvc| cyx| fbz| fjr| isw| jve| qtm| atg| lwi| hli| owh| lcr| nty| zwg| cyh| qvs| txq| cau| aew| pus| uks| qxw| mma| zaq| bgx| jid| mhf| kao| lmu| dlk| ydh| cfc| ldv| ezj| qxo| hqy| exd| ffw| wox| jum| jke|